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【判例解説】画像診断の見落としが問題となった事例(東京地裁平成23年4月14日判決)①

前回に引き続いて、画像診断の見落としが問題となった事例を紹介します。

事案は以下の通りです。 この事件も論点は多数ありますが、画像を読影した医師の見落としだけに絞って解説します。

本件では、B(以下「B」という。)が,平成13年12月4日,被告Y2医師(以下 「被告Y2医師」という。)が開設するaクリニック(以下「aクリニック」という。)に おいて超音波検査(以下「本件超音波検査」という。)を受けた後,平成14年2月25日 ,被告医療法人社団Y1会(以下「被告Y1会」という。)が開設するb病院(以下「b病 院」という。)において,CT検査(以下「本件CT検査」という。)及びMRI検査(以 下「本件MRI検査」という。)を受け,同年7月18日,肝内胆管癌(以下「胆管細胞癌 」ともいう。)により死亡したことについて,原告らが,被告Y1会には,b病院にお いて本件CT検査及び本件MRI検査の画像の読影を担当したC医師(以下「C医師」とい う。)には,本件CT検査及び本件MRI検査の画像に見られる異常所見を適切に読影する注意義務を怠った過失があると主張した事案です。

 

まず、CTについては、裁判に5人の医師の鑑定や意見書が出され、そのうち4人の医師が腫瘤の認定は困難という判断をしていることから、「本件CT検査画像において本件腫瘤を指摘することが容易であったとはいえず、C医師に本件CT検査画像の読影に関する過失があったとは認められない」としました。